2011年4月22日金曜日

「Oracle Exadata」を採用する企業のホンネ

 日本オラクルは4月20日、提供するデータベース(DB)マシン「Oracle Exadata」が信販大手のオリエントコーポレーション(オリコ)や医薬品大手の塩野義製薬など計5社に採用されたと発表した。導入事例は1社ごとに発表されるのが通例であり、今回のように5社まとめて発表されるのは珍しい。

 Exadataの採用を決定したのは、オリコと塩野義のほかに、着メロなどのコンテンツサービスを展開するフェイス、デジタルコンテンツを配信するメディアドゥ、日本最大のポータルサイトを運営するヤフーの計5社。オリコでは会員管理基盤システムとして、塩野義では営業支援系情報基盤として、フェイスではグループのプライベートクラウド基盤として、メディアドゥではコンテンツ管理・配信システム「md-dc」用DBとして、ヤフーでは広告システム基盤として採用を決定した。

 フェイスは、音楽や映像コンテンツの配信、オンラインゲームの運営に加え、オンライン決済システムなども提供している。高速な分析性能とオンライントランザクション処理(OLTP)を実現できるというExadataを活用することで、ユーザーのニーズを的確にとらえ、さまざまなコンテンツを好きな時に好きな場所で楽しめる環境を創造していくとコメントしている。

 メディアドゥでは、2004年から推進しているという"Contents Aggregation System(CAS)"構想のコンテンツ管理・配信エンジンであるmd-dcに、Exadataの高速性が必要と説明している。OLTPとデータウェアハウス(DWH)、バッチ処理というすべてのワークロードをExadataの上に実装できるとされている。同社は今後のスマートフォン市場での成長戦略を描く中で、そうしたExadataの機能に魅力を感じたことから採用を決定したと、理由を説明している。

 ヤフーでは、広告事業を支える大量データの高速集計、バッチ処理の強化と、それによるサービスの品質向上を目的にExadataの採用を2月に決定したとしている。Exadataの性能や短期導入の実績、既存のDB基盤との連携、長年培ってきたというDB運用のノウハウをそのまま活用できるという判断もあって、Exadataを採用したことも明らかにしている。

 Exadataは当初、DWHアプライアンスとして喧伝されたが、現在はDBマシンという枕詞が付く。DWHという情報系システムの基盤だけではなく、業務系システムの基盤としても活用できることが大きいからだ。今回の5社の採用の内訳を見ても、情報系と業務系の両方の基盤として活用できることが分かる。

 オリコの会員管理基盤システムやヤフーの広告システム基盤、フェイスグループのプライベートクラウド基盤、メディアドゥのどれもが業務系としてExadataを採用する。これらの企業では、以前から業務系システムのDBとしてオラクルの「Oracle Database」を活用。その延長線上の選択として、使いやすく高速のExadataを選択している。塩野義の場合は、営業支援系の情報基盤として、つまり情報系の分析基盤としてExadataを選択している。

 今回の5社を含めると、Exadataを選択している日本企業は(実稼働しているところも含めて)18社になるとオラクルは説明する。だが、この18社は「企業名を公表してもいい」(広報室)という数字でしかない。「実際に導入している企業数は2ケタ」と説明する。

 

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