2011年5月31日火曜日

戦略、公平、幸福

戦略とは、ある一定の目的を達成するために、ターゲット顧客を絞り込み、自社固有の強み(ユニークネス)を用いて、競争相手よりもより安いまたはより価値のある商品・サービスを提供するための将来に向けた計画である。

資源は限られているからです。ヒト、モノ、カネという意味でもそうですし、時間という意味でもそうです。限られた資源でやりたいことすべてをしようと思うと、資源は分散します。結果として、何一つ満足な結果が出ないで終わります。つまり、トレードオフとは、大切なものを守り抜くための要なのです。限られた資源の現状を踏まえ、取捨選択をすること、「肉を切らせて骨を断つ」ことこそが戦略なのです。

 その意味で、トレードオフは「あきらめ」「不公平」をすることだといえます。しかし、「不公平」をすることこそが最大幸福への道なのです。傾斜生産方式でいえば、まず基幹産業を強くし、そこを足場にして経済全体を復興させようという考えであったわけですし、会社による本業回帰にしても、資源の分散による競争力の低下を防ぎ、企業を再び成長路線に戻すことを通じて社員や株主の幸福を目指すために行うものです。逆に、野球のチームで、上手な選手が試合に出れば決勝まで行けたのに、「公平」を期すために、全員が順番に出て1回戦で負けてしまえば、いったい誰がうれしいのでしょうか。

 ところが、多くの「戦略」はあれもやりたい、これもやりたいというリストが並ぶばかりで、何を捨てるかが明確であることがありません。特に、政府の場合「○○を捨てる」というと、すぐにどこかから「弱者切捨てか」といった文句が入る。結果として、みんながハッピーになり「そう」な理想の姿を並べるしかないように見えます。当然ですが、資源は限られているわけですから、優先順位の低いものに対しても資源を振り向ければ、本来集中投下するべき事業や課題に対して使える資源量が減ってしまいます。結果として、閾値に足りず、思ったような結果が出ないのが「失われた10年」であったのではないでしょうか。本来優先される経済復興が後手に回った結果、それで得られるはずだった税収もえられず、その税収でまかなわれるはずだった弱者救済は達成できないでいる。最大多数の最大幸福どころか、誰も幸福にならない時代が続きます。

Linux 3.0 RC1リリース——「20周年記念」とトーバルズ氏

 LinuxカーネルのRC(リリース候補)が「3.0-rc1」となった。Linuxカーネルの生みの親でLinux Foundationのフェローを務めるリーナス・トーバルズ氏が5月29日、Kernel Mailing Listで発表した。アーカイブが公開されている。

 直近の正式版は5月19日にリリースされた2.6.39であり、3.0というのは大きなバージョンアップになるが、トーバルズ氏によると仕様には特に大きな変更はなく、大幅なバージョンナンバーの変更の理由を強いて挙げれば「20周年」だから、と説明する。同氏は最初のLinuxカーネルを1991年の8月26日に発表している。

 主な変更点は、ARMサポートの拡張、MicrosoftのKinectのサポート、IntelおよびAMDのプラットフォームへの最適化、仮想マシン関連の修正など。通常のリリースサイクルで、6〜7週間後に安定版をリリースする見込み。

 バージョンナンバーをめぐっては2.6.39リリース後、2.8にするか3.0にするかでメーリングリスト上で議論がなされていた。トーバルズ氏は、「自転車置き場に番号がついていなかったら困るだろう? だから、リーダーとしてとにかく番号を付ける。気に入ってもらえると思う」と語っている。

2011年5月26日木曜日

PM見える化

  皆さんは「プロジェクトマネジメントの見える化」と聞いて何を想像するだろうか。プロジェクト管理において重要な情報——「ルール、進ちょく、予算、課題、リソースといった情報の収集・更新・共有が定型化され、なおかつ常時最新化されているプロジェクトの状態」を想像したのであればそれは正しい。だが、「プロジェクトマネジメントの見える化」とは、それだけではない。
  「プロジェクトの見える化」ではなく、「プロジェクトマネジメントの成果の見える化」も必要だ!"PMOの効果の見える化"には、事前に見える化する対象とKPIを定義し、立証に必要なインプットをPMOの定常業務で管理しておくことで実現する。また、プロジェクトマネジメントの成果を定量的に認識し、成果が不十分な場合は、常にあるべきマネジメントに軌道修正していくことで、プロジェクトの円滑な遂行にも寄与する。
  また、副次的にプロジェクトマネジメントの品質向上にも寄与することを理解してもらえるはずである。よって、プロジェクトマネジメントを見える化し、プロジェクトマネジメントの成果をKPIにより定量的に認識し、成果が不十分であれば、常にプロジェクトの状況にマネジメントをアジャストして行かなければ、プロジェクトは決してスムーズに進めることはできない

2011年5月25日水曜日

ファンクショナル・アプローチ

 ファンクショナル・アプローチには、特徴的な分析思考がある。それは、「全てのモノ、全てのコトには、必ずファンクションがある」と考えるところだ。モノとコトばかりに囚われてしまい、本質を見失わないようにするための分析思考だ。

 そのため、この思考プロセスの中では、モノやコトからファンクションを抜き出すという作業がある。ファンクションは、「~を~する」という名詞と他動詞の2語で表現する。そして、それを目的手段のロジックで階層整理するのである。整理されたものが、FAST(Functional Analysis System Technique)ダイアグラムと呼ばれるものである。

 この思考法を使うことで、ビジネスを大きく進化させることができる。置かれているビジネス環境に対して、企業全体、プロジェクト単位、個人ごとの素早い適応を可能にするのだ。

 そこで、ビジネス・リソースを見直すFASTダイアグラムを作成してみた。

 このFASTダイアグラムから、リソースの見直しにどのような手段があるのか、それは何の目的のために行われるべきか、が読み取れる。左側が目的で、右側が手段になっている。当然、右側の手段を実行していくのであるが、その実行ができたかどうかで判断するのではなく、その上位にある目的の達成に役立ったかどうかで判断していく。

 例えば、《要求達成度を測る》というファンクションを見てみる。ただ測っているだけではリソースのムダである。何のファンクションも達成していないからだ。《不良リソースを見つける》というファンクションの達成に役立っているのであれば、それはムダではないということになる。

2011年5月24日火曜日

プロジェクトマネジメント、成功に導くための10のポイント

Point 1  「知的腕力」をつける
Point 2  読む・書く・聞く・話すの基本能力を高める
Point 3  貧乏クジを引いたらチャンス
Point 4  敵前逃亡はしない、させない
Point 5  信用する勇気を持つ
Point 6  ビジネスプランには時間軸が必須
Point 7  対比論の誤謬(ごびゅう)
Point 8  ブレークスルーは会議では生まれない
Point 9  グローバル化は内にあり
Point 10 リーダーは「器量」と「度量」を持て

プロジェクトマネジメント、実行のための10のポイント

Point 1 少数精鋭部隊は「やる気」で選ぶ
Point 2 目標と志を共有する
Point 3 ロードマップをデザインする
Point 4 ビジネスモデルを設計する
Point 5 「量と質」から「新しい価値」へのパラダイム・シフト
Point 6 「発明」より「発見」だと割り切る楽観性
Point 7 「qQqの原則」を適用する
Point 8 「クイックウィン」を獲得するには、外れ矢を放ちまくる
Point 9 直球と変化球を使い分ける
Point 10 「オールジャパン」の落とし穴

2011年5月23日月曜日

マネージャ、3つの「かけ」でメンバーの調子を確認

 マネージャなら、常日ごろから「メンバーの調子を確認すること」は重要な仕事の1つです。この時、特に「ラインケア」を心掛けてください。ラインケアとは「職場において、メンバーのメンタル不調の予防と早期発見、対応を図り、パフォーマンス向上を目指すこと」です。
 ラインケアのポイントは3つの「かけ」——「気に掛け」「声を掛け」「橋を架け」の3点です。
(1)メンバーの健康とパフォーマンスを「気に掛け」る
(2)機会あるごとに積極的に「声を掛け」る
(3)必要に応じて専門部門に「橋を架け」る

(1)気に掛け
 大きなショック後には、さまざまなストレスがメンバーを襲います。家族の状況、これまで似たような経験があるかないか、精神的な影響の受けやすさなど、ストレスの種類や状況は人それぞれです。
 そのため、何かショックを受けるような出来事が起こった場合、普段以上にメンバーの様子を気に掛ける必要があります。もしかするとメンバーは、「こんなことで不安定になっていてはいけない」「他の人はもっと大変なのだから」と、自分の不調を見せないようにしているかもしれません。常に頑張ろうとする真面目な人ほど、このような傾向があります。
 マネージャは、「メンバーが何も言ってこない」からといって安心してはいけません。表情や顔色、声の様子、そしてパフォーマンスなどを注視してください。

(2)声を掛け
 世の中全体の緊張状態が長引く時は、人は自分のストレスや疲れに気付きにくくなる傾向にあります。
 そのため、マネージャは「Aさん、いつもよりお酒/たばこの量が増えているみたいだけど、何かあった?」「いつも8時20分には出社していたのに、少し遅くなった気がするよ。ちゃんと寝ている?」といった具体的な「声掛け」をして、メンバーが自分のストレスに気付けるようにサポートしましょう。

(3)橋を架け
 メンバーの話を聞くことはとても大切ですが、マネージャ1人でメンバーの問題を抱え込むことは危険です。
 相手の問題に合った相談先を一緒に探し、メンバーが問題の解決や改善に一歩踏み出せるようにするまでが、マネージャの役割です。適切な人に、橋を架けましょう。
 また、相談先を見つけたからといって放っておかず、しばらくしてからメンバー自身にその後の様子を聞くことも大切です。

営業力

営業力の上位概念である商品戦略、営業戦略に関わる方向性が正しくなければ、どんなに強い戦闘力を持っていても成果に結び付けることができません。
営業(戦闘)力を大きく2つに分けると、商品力(武器)と販売力(攻撃力)になります。すなわち、下記の公式が成り立ちます。

営業力 = 商品力 × 販売力

 どんなに販売力が強くても、商品の魅力がなければ売れませんし、どんなに商品力が強くても、販売力が弱ければ、商品の良さをお客様に認識させることができないということになります。

明らかに差別化できていて、優位性がある商品を売っている営業マンの皆様であれば、販売力強化(営業スキル、営業マン育成)、組織運営(マネジメント)の課題としてとらえればよいのですが、しかし営業マン自身が、お客様に自社商品の優位性について、自信を持って伝えられないとしたら、そもそもお客様にその商品の魅力を感じてもらえるでしょうか。市場の成長が期待できず、相見積もりやコンペ、新規参入が常態の中では、優位性が見えなくなった瞬間にリプレイスされてしまうでしょう。

 営業力の土台となる事業の定義は、「エーベルの3次元」を活用すると3つの軸で表現します。「どういうお客様(WHO)に、どういう価値(WHAT)を、どのように(HOW)買っていただくか」を明確にすることです。

A.WHO(お客様との関係性)
B.WHAT(お客様に期待される価値)
C.HOW(提供方法)

2011年5月21日土曜日

デジタルサイネージでバーチャル試着などのコンテンツを提供、東急電鉄やイッツコムなど

 東京急行電鉄と東急不動産、イッツ・コミュニケーションズは2011年5月20日、「二子玉川ライズ」においてデジタルサイネージを5月21日に本格稼動させると発表した。これまでは東日本大震災以降の電力不足を考慮して本格的な運用を控えていたが、節電施策を継続しながら、当初に予定していた運用を開始する。

 通常の施設案内型のコンテンツのほか、アパレルテナントのお薦めの服を画面上で試着できる「みだしなミラー」などのアミューズメント型のコンテンツや、一般募集した「つぶやき」を町の声のような形で表示する「つぶやきウォーカー」といった参加型インタラクティブコンテンツなども表示する。イッツコムの放送番組とサイネージの連動も行う。

 3社は持続的に成長する街「クリエイティブシティ」の実現を目指す「クリエイティブ・シティ・コンソーシアム」に会員として参画し、二子玉川を具体的なフィールドとして様々な活動を進めている。今回、複数の街区で構成される「二子玉川ライズ」にデジタルサイネージを設置し、場所とタイミングにより効果的な告知を行うリーセンシーメディアとして活用する。

2011年5月20日金曜日

UQ WiMAX、都営地下鉄で利用可能に

 東京都交通局とUQコミュニケーションズは19日、都営地下鉄にWiMAXの設備を整備し、駅やトンネル内(一部を除く)でもWiMAX・Wi-Fiルータ等を使って通信サービスを提供できるようにすることで合意したと発表した。

 利用可能となる路線は浅草線、三田線、新宿線、大江戸線で押上、目黒、白金台、白金高輪、新宿線新宿駅を除くとなっている。

2011年5月18日水曜日

シンガポールについて

知っておくべきこの島のすべて

シンガポールを"ちいさな赤い点"と言う人もいます。しかしそんな名前とは裏腹に、今日のシンガポールは世界的にも大きな存在感を示しています。シンガポールは摩天楼やガーデンシティの景色とともに、世界レベルの生活環境を誇る賑やかで国際色豊かな都市です。シンガポールで特に興味をそそるものは、文化のコラージュです。ここには、違う民族性や信条を持つ人々が共存しています。シンガポールでは、活気にあふれた多文化的な経験に加え、その他たくさんの発見があなたを待っています。

 

シンガポールの過去への旅

シンガポールの最も古い記録は時間の霧の中に埋もれていますが、3世紀の中国の記録ではシンガポールを"Pu-luo-chung(プ・ルオ・チャン)−半島の端にある島"と記述しています。後に、最初の入植が行われたAD 1298-1299年の間、この都市はTemasek(テマセク:"海の町")と呼ばれていました。

 

14世紀に入り、この小さく戦略的な場所に位置する島は新しい名前を得ました。

 

伝説によると、パレンバン(スリヴィジャヤの首都)の王子が狩に出かけた際、それまで見たことのない動物を目にし、それを幸運の知らせだと考え、その動物を見かけたこの場所を、サンクリット語で"singa(シンガ)"(ライオン)と"pura(プラ)"(町)から"ライオンの都市"、Singapura(シンガプラ)と名づけたとされています。

 

この頃、この町は古代シンガプラの5人の王によって治められていました。マレー半島の先端に位置し、航路の自然な集合地点として、この都市は中国の平底帆船やインドの船、アラブのダウ(沿海貿易用帆船)、ポルトガルの戦闘艦やブギス族のスクーナーなどの様々な船舶の往来する交易所となりました。シンガポールの歴史において次に重要な時代にあたるのが、18世紀です。

 

この時期に現代のシンガポールが建国されました。この頃シンガポールはすでに将来有望なマラッカ海峡沿いの交易所となっており、英国はこの地域での寄航港の必要性を感じていました。英国の貿易業者は、この地域へのオランダによる侵攻を妨害すると共に、成長しつつあったイギリス王朝の商船を守り、糧食を補給させるための戦略的な場所を必要としていました。

 

かつてのスマトラにあるベンクーレン(現在のベンクル)の副総統、トーマス・スタンフォード・ラッフルズ卿は近隣諸島を視察した後の1819年1月29日にシンガポールに降り立ちました。そして、湿地に覆われた島の計り知れない潜在性を認識し、地元の支配者と条約の取り決めをし、シンガポールを交易本部として設立しました。その後まもなく、自由貿易という島の政策はアジア中の、そしてアメリカや中東などの国からの商人たちを魅了しました。

 

1832年に、シンガポールはペナン、マラッカ、シンガポール海峡植民地政府の中心となりました。1869年のスエズ運河の開港や電報や蒸気船の出現と共に、東西間の貿易の発展の中心としてのシンガポールの重要性はすさまじく増大しました。成長の一途をたどっていた国の人口は、1819年にはたったの150人だったのが1860年には8万792人にまで増え、その多くは中国、インド、マレー人でした。

 

しかし、この国の平和と繁栄は第二次世界大戦間の1941年12月8日に日本の爆撃機に攻撃された際に大きな打撃をうけました。一度は難攻不落の要塞を称されたシンガポールも、1942年2月15日に日本の侵略下に倒れました。その後3年半の間日本の支配下に置かれ、その間強い弾圧を受け、多くの生命が失われました。

 

日本が降伏した1945年、島は英国軍管理下に移され、これはペナン、マラッカ、シンガポールからなる海峡植民地の解除に至るまで政権を握り続けました。1946年3月に、シンガポールは英領植民地になりました。 

 

1959年に、国家主義の広がりが自治政府、そして国で初めての総選挙へとつながりました。人民行動党(People's Action Party : PAP)は43議席の大多数を獲得し、リー・クワンユーがシンガポールの初めての首相となりました。シンガポールはマラヤ連邦に加わり、マラヤ、サラワク、北ボルネオ連邦と合併し、1963年に、マレーシア連邦が形作られました。しかし、この合併は不成功におわり、その後2年もたたない1965年8月に、シンガポールはマレーシア連邦を抜け、独立し、主権民主国家となりました。その年の12月22日にはシンガポールはついに独立共和国となりました。

 

今日、街中にある、多くの国の記念碑や博物館、記念碑を訪れることで、シンガポールの豊富な歴史的遺産を体験することができます。ここでの旅では、完全なシンガポール旅行のために、必ず多くの遺産コース沿いを歩いてみたり、よく知られているランドマークを訪ねたりしてみましょう。

人々、言語、文化

多文化的な万華鏡

多くの人がシンガポールの美しさとその進化に驚嘆します。最も印象的なことは、この国はかつて原住民が定住していた、つつましい漁師の村であったということです。

 

そんな時代から時を経た現代、シンガポールは摩天楼と美しい庭園があふれる、賑やかな国際色豊かな都市となっています。シンガポールは、様々な文化や料理、芸術、建築が調和している華やかで多様性のある活動的な都市です。シンガポールは、東西の最も良い部分が織り込まれている場所と言えるでしょう。

 

シンガポールは東南アジアに位置し、国土は約710平方キロメートルです。つまり、シンガポールは世界で最も小さい国の一つであり、その地域では一番小さい国です。そのため、"小さな赤い点"というあだ名が付けられています。その小さなサイズに関わらず、シンガポールはその自由貿易による経済と、効率の高い労働力と共に、現在、世界では堂々とした存在感を放っています。また、この地域における有利な立地条件が、シンガポールを主要航路沿いの中心貿易港へと発展させました。

安全なビジネス基盤や好ましい経済情勢以外に、シンガポールが、急速に発展しているもう一つの要因は、安定していて、有能な統治政府です。シンガポールは、民主主義を軸とする政治システムを持っている議会共和国です。現在の政府与党は、民主行動党(PAP)であり、1959年の自治政府からずっと政治プロセスの優位を占めてきました。

 

現在、シンガポールの人口は約500万人に上っており、英語が教育上の主要言語となっていて、それぞれの民族には彼らの母語が使用されています。シンガポール独特のものとして気づかれるのが、文化のコラージュです。シンガポールでは、中国、マレー、インド、ユーラシアの4つの主要民族が、社会として繋がり、協調して生活しています。それぞれの民族集団が文化や、宗教、食や言語において異なる観点を提供しています。

 

多文化社会として、シンガポールは結合力があると同時に多様性があります。シンガポールには、見ることやすることがたくさんありますが、現地の人々との交流によって、シンガポールでの体験が最高のものとなることでしょう。もしも郷愁にかられ、古い世界の魅力を求めているのであれば、この島の主要な歴史的ランドマークや記念碑を訪れてみてください。また、遺跡コースを回り、様々な文化区域(特にチャイナタウンやリトルインディア、カンポングラム)での景観や音を楽しむこともできます。

 

まばゆい都会の灯や喧騒の中にいることを好む方には、うれしいことに、ショッピングモールや博物館、飲食店や娯楽歓楽街の選択肢も豊富にあります。象徴的なオーチャードロード地域で買い物を楽しむことも、クラーク・キーやボート・キー地区でのパーティーで一夜を過ごすこともできます。どちらを選んでも、夜のアクティビティの選択肢は無数です。

 

さらにシンガポールについてあなたを最も驚かせるのは、様々な種類の食べ物です。昼でも夜でも、あなたの食欲そそるものが常にそこにあります。プラナカンから、中華、インド料理、マレー料理、フュージョンなどなど、バラエティあふれる食事で、選ぶのに困ってしまうでしょう。

 

歴史、文化、人々、買い物、そして食という枠を超えて、シンガポールにはあなたの発見を待っている繁栄する都市風景の側面があります。これらはあなた自身が、かつて漁師村から国際的都市へと発展した国の探索にひたることでのみ経験できます。

 

クラウド導入済み組織の65%が「期待通りの効果を得た」

 あずさ監査法人は5月17日、企業や教育機関などを対象に実施したクラウドコンピューティングに関する調査の結果を発表した。クラウドを導入済み、もしくは導入中・検討中の組織は62%に上り、導入済み組織の65%が「期待通りの成果が得られた」と回答した。
 クラウドの導入済みの組織は全体の18%で、導入中および導入予定は9%、検討中は35%だった。導入目的は「ITコストの削減」(79%)が最も多く、以下は、「システムやシステム管理の簡素化」(55%)、「セキュリティや事業継続性の向上」(37%)、「スケ—ラビリティ」(36%)の順だった。想定リスクには、「情報の漏えいや改ざん」や「ベンダーの破綻や事業からの撤退」との回答が目立っている。
 導入形態では、プライベートクラウドがパブリッククラウドをやや上回り、サービスの提供形態では「SaaS」76%で最多を占めた。クラウドを基幹業務システムに適用(予定や検討中を含む)している組織は33%で、対象業務は「財務会計」(61%)、「受注・販売」や「発注・購買」(ともに52%)、「営業管理」(40%)など。一方、不安事項ではパフォーマンスの低下を懸念する回答が」が多かった。
 クラウドベンダーの選定や管理について。選定で重視する点は「コスト」(79%)や「実績」(66%)、「情報セキュリティ対応」(62%)が上位を占めた。クラウドベンダーの監視では、「自社による内部監査や評価」が54%、「クラウドベンダーの自主監査や自主点検」が36%、「第三者による監査や評価の報告書」が25%となった。
クラウド導入に伴うIT統制や効果
 クラウド導入に伴うIT統制の強化では、「情報セキュリティ管理態勢やリスク管理態勢の見直し・強化」(42%)や、「システム開発管理およびシステム運用管理の手続きの見直し・整備」(40%)、「IT投資評価や予算制度の見直し」(30%)といった対応が目立つ。クラウド導入に必要な人材では、「IT戦略やIT投資計画を策定できる人材」「情報セキュリティやコンプライアンスなどリスク管理に詳しい人材」、「機能(業務)要件や非機能要件などの要件定義やRFP作成ができる人材」が多く挙がった。
 クラウド導入効果については、65%が「期待通りの効果が得られた」、4%が「期待より大きな効果が得られた」と答えた。「期待効果を検証していない」という答えも20%あった。クラウド導入後に顕在化したリスクでは、導入してからの時間が短いためか、51%の組織が「顕在化したリスクはない」と回答。実際に顕在化したリスクには、「システムのカスタマイズが困難になった」(11%)などが挙げられた。
 調査は、国内の上場企業3547社と売上高500億円以上の非上場企業1143社、官公庁や大学法人などの非営利組織342の組織を対象に実施。2010年11月26日〜12月31日に郵送によるアンケートを行い、666の組織から有効回答を得た。

2011年5月14日土曜日

イー・モバイル、全機種SIMロックフリーに移行

イー・アクセスは13日、イー・モバイルの携帯電話機およびデータ通信端末について、今後新規発売される機種については、すべてロックが解除された(SIMロックフリー)状態にて販売する方針としたことを発表した。

同社はすでに、昨年12月に発売した「HTC Aria」、および本年1月に発売した「Pocket
WiFi S」から、SIMロックが解除された状態で販売を行っていた。今後、「EMOBILE通信サービス」で利用可能なイー・モバイルの端末は、SIMロックがすべて解除された状態で販売される。これらの端末は、出荷時点で一律SIMロックが解除された状態で販売され、特別な手続きや手数料は必要とならない。

ただし、同社SIMロックフリー端末を他社SIMカードで利用する場合、周波数や通信方式により利用できないケース、その通信事業者への申し出が必要なケース、利用可能なサービス・機能に制限が生じるケース等もあるとしている。

2011年5月12日木曜日

iPhone位置情報収集

 先日、位置情報を研究しているプログラマーであるAlasdair Allan氏とPete Warden氏が、「Where 2.0」というカンファレンスで、「iPhone内に位置情報を記録したファイルが存在する」ことを発表した。

 両氏はまた、その位置情報を記録したファイルは暗号化処理が行われておらず、この状態で、各ローカルデバイスに大量の情報が保管されていることは危険であると指摘した。そして、その危険性を証明するため、iTunesのバックアップから位置情報を地図上にプロットする「iPhone Tracker」というプログラムも公開している。

 これらの情報が個人情報に当たるかどうかというと、微妙なところなのかもしれない。位置情報サービスが市民権を得つつあるとはいえ、自身がトリガーになっていない位置情報が簡単に読み出せてしまうのは、あまり気持ちのいいものではないだろう。

 1ついいニュースがあるとすれば、これらの情報はローカルに保存されているため、そのファイルを取得できる状態(=デバイスを手にする状態)にならなければならない。つまり、多くの情報が保存されているが、入手するための敷居は比較的高いかもしれない。

 逆に、SNSなどから取得できる情報は、得られる情報量は少ないかもしれない。だがIDさえ分かれば、当の本人に気付かれることなく取得できてしまう。その分、こちらの方がクリティカルな情報流出につながってしまう可能性が考えられる。

 ささいな情報でもダムの決壊につながる
 最近、APT攻撃が再び注目を浴びている。APTとは「Advanced Persistent Threat」の略で、直訳すると「高度で継続的な脅威」となる。定義はあいまいなのだが、特定の個人や組織に対してテクニカル、ソーシャル問わず複数の手法を用いて執拗に攻撃を行う、標的型攻撃の1つであると筆者は認識している。

 GoogleやAdobe Systemsなどもこの餌食となった。2011年3月にはRSAがこの被害に遭い、二要素認証製品「SecurID」の情報の一部が盗み出されたと報じられている。

FOCA Free

企業がニュースリリースなどの情報を配信する際は、「pdf」や「doc」に代表されるドキュメント系のファイルをWebサイトからダウンロードできるようにしているだろう。このファイルに、メタデータとしてさまざまな情報が格納されている場合がある。

 読者の皆さんの中にもチェックしたことがある方もいると思うが、Microsoft Wordなどのファイルのプロパティを確認すると、作成者の名前や会社名などが確認できる。この他にも、作成したアプリケーション名やバージョン、保存したことのあるローカルパスなどが含まれている。このような情報は一般的に「メタデータ」と呼んでいる。

実は、検索サイトを利用して、このメタデータを取得できそうなファイルを探し出し、容易に抽出できるツールが存在する。それが「FOCA」のFree版だ。

では、抽出された情報を確認してみよう。
■ユーザー名
 ここではメタデータに含まれるユーザー名と思われるものが抽出され、表示される。Microsoft Officeなどではユーザー登録の際に入力した文字列が表示される。
■フォルダ名
 メタデータ中のファイルパスやURLを抽出して表示してくれる。ファイルパスの場合は「C:\Documents and Settings\ユーザー名」という文字列が抽出されれば、システムのユーザー名を知ることが可能となる場合もあるだろう。
 組織によっては、ユーザー名がそのままメールアドレスのユーザー名となっていることもあり、存在するメールアドレスの確認やユーザー名の命名規則を知ることにもつながるだろう。
■ソフトウェア
 ドキュメントの作成に使用されたソフトウェアの名前やバージョンが表示される。
 ツールを使えば、ほんの少しの手間で、これだけ多くの情報を得ることが可能であることがお分かりいただけだろうか。運がよければ、攻撃をする際に非常に有用な情報を手に入れることも可能かもしれない。

【注1】FOCA Freeで収集できるファイルタイプは次のとおり。doc、xls、ppsx、sxc、pdf、svgz、ppt、docx、xlsx、sxi、odg、wpd、indd、pps、pptx、sxw、odt、odp、svg。

EXIFによる個人情報漏れ

さまざまなEXIF情報の中でも、最も不特定多数の他人に知られたくないのは「位置情報」ではないだろうか。

 

 「情報を公開している」ことを自分自身で理解・把握した上で位置情報を公開しているのであれば、問題はないだろう。だが公開されている情報は、本当に、自身が把握している情報だけで済んでいるだろうか。

 

 それを確かめるために、自分が今まで公開した情報を11つ見て回るのも手間がかかる。そこで今回は、その実態を理解できるツールを1つ紹介させていただく。「creepy」という、「ぞっとする」や「気味悪い」という意味の名前を持っているツールだ。

 

 このツールは、Twitter UsernameFlickr UserIDを指定すると、そのアカウントをクロールし、ツイート内の位置情報や、そこからリンクされているイメージホスティングサイトにアップロードされた画像データ内のEXIFtagAPIを利用して位置情報を収集し、一覧表示してくれる。加えて、取得できた位置情報を地図上にプロットしてくれることまでしてくれる。

 

 デフォルトでは左ペインが時系列(降順)にソートされており、各行を選択すると地図もそれと同時に移動・拡大し、その行の位置情報が示す座標ピンが表示される。この画像を本人に見せたところ「だいたい思い当たりますが、すっと出てこないのもありますし、こうして見せられると気持ち悪いですね。ストーカーさんには絶好のツールですね。ストーカー気質な知人には知られたくないツールですね(笑)」とコメントしていた。

 

 知人のアカウントから作成したこの地図を見ると、本人が相当ディズニー好きであることがうかがえる。他にも、鉄道博物館など知人の趣味趣向がうかがえるピンも多数あった。知人がそうであるかどうかは分からないし、探ることもしないが、自分の好きなものをパスワードや秘密の質問に使っている場合もあるのではないだろうか。

「EXIF」(“イグジフ”または“エグジフ”)とは

簡単に「EXIF」について説明する。EXIFとは「Exchangeable image file format」の略で、1994年に富士フィルムが提唱したデジタルカメラ用の画像メタデータのフォーマットだ。平たくいえば、さまざまなメタ情報を画像の中に埋め込むことができるというものである。記事執筆時点での最新バージョンは、EXIF 2.2EXIF Print)である。

 

 埋め込み可能な情報は多岐に渡っている。「撮影日時」や「撮影機器メーカー名」などの情報はもとより、「シャッタースピード」や「撮影方向」「フラッシュの有無」といった撮影時の細かい情報、また、素早くアプリケーションで表示させるためのサムネイル(160×120画素)も埋め込むことが可能となっている。

SNSのメリット

FacebookTwitterFlickrInstagramFourSquareなどなど、世の中にはさまざまな形、さまざまな特徴を持ったSNSがリリースされている。東日本大震災のときには、携帯電話のメールは輻輳が発生してしまい安否確認が取りにくくなったが、代わりにSNSが大活躍した。これを機にアカウントを作成した方も多いようで、TwitterFacebookを新たに始めた人が目立った。

 

 SNSはプライベートの垂れ流しとなり危険だという意見もあるが、あくまで1つのツールであり、存在そのものが危険だというわけではないと考えている。

 

 SNSを通じて、従来ならばコンタクトすら取れなかったはずの読者の方々とコミュニケーションを取り、貴重な経験をすることが可能となった。ユーザーが節度を持ち、選択し、正しい使い方をすれば、SNSは情報収集ツールにもコミュニケーション促進ツールにもなる。

2011年5月11日水曜日

VAIOのロゴには何が隠されているか

 ヒントはVAとIOとに分けて考えることです。いかがでしょう、このロゴに隠されたメッセージをつかむことはできましたか?
 実はVAの部分は、流れるような連続した曲線(正弦波)で「アナログ」を示しています。一方IOの部分は「1」「0」と読むこともでき「デジタル」であることを示しています。つまり「アナログ」と「デジタル」の融合、というコンセプトがロゴの中に隠れているのです。
 このようにロゴ1つとっても、それを「文字列」として読むのか、「映像」として見るのかで、見えるものが変わってくるということです。
 文字の余白に着目してみる。文字の意味ではなく、形に着目してみる。

FedExロゴに隠されたもの

 誰もが、国際的な宅配サービス会社のロゴであることは分かると思います。しかし、この企業を知らない子供に見せると何が見えるでしょうか? みなさんとは違う、別のものが見えるのです。それはなんでしょうか?
 答えは、矢印です。ロゴのデザイナーであるリンドン・リーダー氏によれば「スピード」「正確性」などのメッセージをロゴに埋め込んだそうです。ロゴの文字だけにとらわれず、余白に注目すればすぐに見えてきます。EとXの間の余白に着目してみましょう。

3段階で取り組む企業のBCP、まずはコミュニケーション強化から

このたびの大震災を受けて、多くの企業は事業継続計画に対して目の色が変わってきている。企業は具体的にどのようなBCP対策をすべきか。ITの側面から大きく3つのポイントを挙げて説明する。
 1つ目が「コミュニケーション」である。地震発生直後の緊急時には、社員および設備の被害確認などによる正確な情報把握と状況の見える化が重要だ。特に拠点を複数持っている企業は、並行して復旧作業に当たる必要があるため、より被災状況を見える化するとともに、対策手順をアシストするITの仕組みが不可欠だろう。
 これを支援するITツールとしては、社内ポータルを頂点に、安否確認システム、資産管理システム、社内SNS、企業の公式Twitterなどが挙げられる。特に今回の震災においては、一時的に電話通信が機能ストップする中で、Twitter、Facebookといったソーシャルメディアを使った被害情報収集や安否確認が目立った。これらのツールの有効性を実感し、非常時のコミュニケーション基盤として取り入れた企業も少なくないという。
 2つ目は、「業務」におけるBCP対策である。例えば、震災によって社屋が損傷したり、交通網が寸断したりして出勤できない場合でも、企業存続のためには経済活動の歩を止めることはならない。そこで暫定的な処置として、在宅勤務や遠隔地でのテレビ会議などによるオフィス業務の代替が必要となってくる。在宅勤務やテレワークについては、これまで主に仕事と家庭の両立を目指す「ワークライフバランス」の観点で語られることが多かったが、震災以降はBCPの色合いが強まりつつある。
 実際、ITRにも在宅勤務に関する企業からの相談が増えているという。中でもIT部門の多くが重視するのが、セキュアなリモートアクセス環境の構築である。オフィスと遜色ないレベルで業務を遂行するためには、当然、ファイルサーバなどの社内システムにアクセスする必要性が出てくる。その際、ユーザー認証の仕組みや企業データの流出防止などについて多くの担当者が工夫を迫られている。それを実現するためのITツールとして、「仮想デスクトップやシンクライアントの技術が再評価されている」というわけだ。
 今後ますます重要になるのが、3つ目のポイントとして挙げられている、調達の生産販売、物流といった「事業」の継続、強化である。従来までも、調達、生産、物流、販売の情報共有や一元管理という議論はなされていたが、今までにも増して実務的なレベルで必要になるという。
 これから夏に向けて大規模な節電が迫られるほか、いつまた新たな震災が発生するかもしれないという中長期的なスパンで考えたとき、業務の弾力性や柔軟性が確保できるようなシステムの構築が焦点になる。具体的には、サプライチェーン管理(SCM)やビジネスプロセス管理(BPM)の強化がよりいっそう重要性を増してくる。
 これまで企業では、ルールに従って決められた通りに運用できる"ガチガチな"システムを作っていたが、いかなるビジネスフローの変更にも対応できる柔軟なサプライチェーンなどのシステムが不可欠になる。同時に、ビジネスプロセスを定義してそれをシステムに落とし込んでいくBPMや、それを推進する上で業務の実施状況やパフォーマンスを監視するBAM(ビジネスアクティビティモニタリング)にも注目が集まっていくと見ている。具体的には、業務を1つのサービスとしてとらえ、SOA化やジョブ化の中長期的な推進が考えられる。

2011年5月9日月曜日

Microsoft Officeへのリモートアクセスを安価に実現する3つの方法

ポータブルライセンス
 ポータブルライセンスは十分に理解されておらず、リモートアクセスとの関係は分かりづらいかもしれない。しかし、このライセンスを適切に活用すれば、コストを大幅に節約できる。会社のコンピュータがOffice StandardまたはOffice Professional Plusのボリュームライセンスの対象である場合、Microsoftの規約では「ライセンス対象の端末のプライマリユーザーが使用する目的で、1台のポータブル端末にコピーをインストールできる」としている。
 つまり、デスクトップPCにOfficeのライセンスがあり、ノートPCにライセンスがない場合、デスクトップPCのOfficeライセンスでノートPCを1台追加でカバーできるので、ノートPCにもOfficeをインストールできる。しかも、これはOfficeライセンスのため、このノートPCからもOfficeへのリモートアクセスを利用できる。
 なお、Office Professionalのリテールライセンスにもポータブルライセンスが含まれているが、この場合はリモートアクセスを使用できない。リモートアクセス用にリテール版のOfficeをサーバにインストールできないためだ。
 うわさに反するが、ポータブルライセンスにはSoftware Assurance(SA)もEAも必要ない。ポータブルライセンスは、リテール版の場合は基本のソフトウェアライセンス条項、ボリュームライセンスの場合は「製品使用権説明書」に盛り込まれている。つまり、ボリュームライセンス契約には依存していない。
 1つ注意が必要なのは、EAを契約している場合、会社で使用する全てのPCが契約に含まれている必要があり、EAにOfficeが含まれている場合は、各PCにOfficeのライセンスを購入することになる。従って、ポータブルライセンスのメリットがあるのは、従業員が個人でノートPCを所有している場合のみになる。このような場合、従業員個人のノートPCにOfficeをインストールできる。
 ただし、企業自体でポータブルライセンスを使用してコストを節約できる方法がある。会社の全てのコンピュータを対象にしなければならないEAではなく、セレクト契約を利用してOfficeのライセンスを取得するのだ。セレクト契約なら、デスクトップPCとノートPCの両方を使用するユーザーについては、デスクトップPCの分だけライセンスを購入できる。デスクトップPCにはセレクト契約でライセンスを購入し、それで無料で得られるポータブルライセンスをノートPCに利用できる。
 ユーザーの15%以上がデスクトップPCと(ユーザー自身または会社が所有する)ノートPCの両方を使用している場合は、この方法でOfficeを購入する方がEAを利用するよりも安くなるだろう。
Work at Homeライセンス
 Work at Home(WAH)ライセンスはセレクト契約およびEAで提供され、職場で使用するOfficeと同じOfficeを自宅のコンピュータでも使用できるようにする。Pro Plusの場合は220ドル(ボリュームディスカウントあり)、Standardの場合は148ドルと安くはないが、2本目のOfficeライセンスとして考えると、60%引きに相当する。
 これは悪い話ではない。WAHがあれば、自宅のコンピュータにOfficeをインストールできるし、Officeのリモートインスタンスにもアクセスできる。
 興味深いことに、WAHはEAを通じて取得した場合でもSAを購入できない数少ないライセンスの1つだ。WAHは、単純に職場のコンピュータにインストールされているソフトウェアに連動するので、職場のコンピュータにSAがあり、Officeが新しいバージョンにアップグレードされた場合は、自宅のコンピュータもアップグレードできる。
自宅使用プログラム
 OfficeのSAを購入しているボリュームライセンスユーザーは、Microsoftの自宅使用プログラム(Microsoft Home Use Program)を利用して、自宅のコンピュータ用に12ドル(※)でOfficeを別途購入できる。この場合、Officeへのリモートアクセス権も手に入る。
 そうなるとWAHライセンスよりも有利に思えるが、Office Professional PlusのSAには年間100〜150ドル掛かる。従って、自宅からのリモートアクセスを実現する手段としては高価だ。
 その代わりに、自宅使用プログラムにはポータブルライセンスが付属するので、自宅のノートPCにもOfficeをインストールできる点はメリットだといえる(ただし、これはプライマリユーザーが使用する場合に限られ、例えばユーザーの子どもが学校で使用することは認められない)。

2011年5月3日火曜日

富士通研究所、仮想デスクトップの応答性能を向上させる高速表示技術

富士通研究所は、仮想デスクトップの操作応答性能を向上させる高速表示技術「RVEC(レベック、Remote Virtual Environment Computing)」を開発した。スマートフォンなどによる
モバイル環境の業務やCADなどのグラフィック処理に、仮想デスクトップの用途を広げることができるという。

「RVEC」は、画面更新が多い領域を抽出し、更新の頻度に応じて動画化領域と静止画領域に分類。それぞれの領域に適した圧縮方式を用いて、クライアント端末に送信する。

CADのように直線を多用する画像は、圧縮による画質劣化を回避して直線をクリアに表示しながらも、高効率に圧縮して転送するCAD画像圧縮技術を開発した。「RVEC」の静止画圧縮方式にCAD画像圧縮技術を用いることで、CADでの配線や物体の輪郭をクリアに表示する。

社内試行環境(1024ドット×1280ドット)で720ドット×1280ドットの動画を再生した場合のデータ転送量を、従来方式と同等の表示フレームレートで比較したところ、約10分の1の毎秒930kbitに抑えることができたという。2次元のCADを利用した場合は、クライアント端末あたり平均で毎秒約670kbitのデータ転送量で操作することができた。VNC(オープンソースの仮想デスクトップツール)で用いているHextile圧縮方式と比較して、約3倍の静止画圧縮率を達成したとしている。