2011年5月9日月曜日

Microsoft Officeへのリモートアクセスを安価に実現する3つの方法

ポータブルライセンス
 ポータブルライセンスは十分に理解されておらず、リモートアクセスとの関係は分かりづらいかもしれない。しかし、このライセンスを適切に活用すれば、コストを大幅に節約できる。会社のコンピュータがOffice StandardまたはOffice Professional Plusのボリュームライセンスの対象である場合、Microsoftの規約では「ライセンス対象の端末のプライマリユーザーが使用する目的で、1台のポータブル端末にコピーをインストールできる」としている。
 つまり、デスクトップPCにOfficeのライセンスがあり、ノートPCにライセンスがない場合、デスクトップPCのOfficeライセンスでノートPCを1台追加でカバーできるので、ノートPCにもOfficeをインストールできる。しかも、これはOfficeライセンスのため、このノートPCからもOfficeへのリモートアクセスを利用できる。
 なお、Office Professionalのリテールライセンスにもポータブルライセンスが含まれているが、この場合はリモートアクセスを使用できない。リモートアクセス用にリテール版のOfficeをサーバにインストールできないためだ。
 うわさに反するが、ポータブルライセンスにはSoftware Assurance(SA)もEAも必要ない。ポータブルライセンスは、リテール版の場合は基本のソフトウェアライセンス条項、ボリュームライセンスの場合は「製品使用権説明書」に盛り込まれている。つまり、ボリュームライセンス契約には依存していない。
 1つ注意が必要なのは、EAを契約している場合、会社で使用する全てのPCが契約に含まれている必要があり、EAにOfficeが含まれている場合は、各PCにOfficeのライセンスを購入することになる。従って、ポータブルライセンスのメリットがあるのは、従業員が個人でノートPCを所有している場合のみになる。このような場合、従業員個人のノートPCにOfficeをインストールできる。
 ただし、企業自体でポータブルライセンスを使用してコストを節約できる方法がある。会社の全てのコンピュータを対象にしなければならないEAではなく、セレクト契約を利用してOfficeのライセンスを取得するのだ。セレクト契約なら、デスクトップPCとノートPCの両方を使用するユーザーについては、デスクトップPCの分だけライセンスを購入できる。デスクトップPCにはセレクト契約でライセンスを購入し、それで無料で得られるポータブルライセンスをノートPCに利用できる。
 ユーザーの15%以上がデスクトップPCと(ユーザー自身または会社が所有する)ノートPCの両方を使用している場合は、この方法でOfficeを購入する方がEAを利用するよりも安くなるだろう。
Work at Homeライセンス
 Work at Home(WAH)ライセンスはセレクト契約およびEAで提供され、職場で使用するOfficeと同じOfficeを自宅のコンピュータでも使用できるようにする。Pro Plusの場合は220ドル(ボリュームディスカウントあり)、Standardの場合は148ドルと安くはないが、2本目のOfficeライセンスとして考えると、60%引きに相当する。
 これは悪い話ではない。WAHがあれば、自宅のコンピュータにOfficeをインストールできるし、Officeのリモートインスタンスにもアクセスできる。
 興味深いことに、WAHはEAを通じて取得した場合でもSAを購入できない数少ないライセンスの1つだ。WAHは、単純に職場のコンピュータにインストールされているソフトウェアに連動するので、職場のコンピュータにSAがあり、Officeが新しいバージョンにアップグレードされた場合は、自宅のコンピュータもアップグレードできる。
自宅使用プログラム
 OfficeのSAを購入しているボリュームライセンスユーザーは、Microsoftの自宅使用プログラム(Microsoft Home Use Program)を利用して、自宅のコンピュータ用に12ドル(※)でOfficeを別途購入できる。この場合、Officeへのリモートアクセス権も手に入る。
 そうなるとWAHライセンスよりも有利に思えるが、Office Professional PlusのSAには年間100〜150ドル掛かる。従って、自宅からのリモートアクセスを実現する手段としては高価だ。
 その代わりに、自宅使用プログラムにはポータブルライセンスが付属するので、自宅のノートPCにもOfficeをインストールできる点はメリットだといえる(ただし、これはプライマリユーザーが使用する場合に限られ、例えばユーザーの子どもが学校で使用することは認められない)。

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