リーダー道を1歩から積み上げるにはどうしたらいいのだろうか。そのヒントは、1970年代に社会心理学者のEPホランダーが提唱した「Credit Accumulation Theory (信頼蓄積理論、クレジット・アキュミレーション理論)」に求めることができるだろう。
それまでのリーダーシップ論がリーダーの資質や行動特性など、リーダー個人にフォーカスを当てていたのに対し、ホランダーはリーダーと部下との関係性に着目した。つまり、リーダーと部下との間に信頼関係が蓄積されていれば、リーダーはその部下に対してリーダーシップ(影響力)を発揮しやすく、信頼関係がなければリーダーシップを発揮することはできない、と提唱したのだ。
部下の可能性を信じ、部下に任せて、主体性を引き出す。その考え方自体はなんら間違ったものではない。しかし、それは「心の底から」信じている、ということが前提だ。
すべきことは「いかに正確な指令を出すか」ではなく、「いかに部下から信頼される上司になるか」であったのだ。部下から信頼される上司になることを怠ったままで、「正しい」指示命令を「論理的」に「説明」し続けたのだ。これでは部下に愛想を尽かされて当然だ。
テクニックに溺れず、ムリにガマンをせず。しかし、心の底から部下のことを考える。業績達成への上司からのプレッシャーもあるが、そこにフォーカスし、自分をぶらさない。さらに、自分は未熟な新参者であると心して、テクニックではなく、人として信頼されるよう努力する。
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