2011年6月3日金曜日

「5つの項目」に集約=報告のしくみです

 報告を受ける1番の目的は現場を知ることです。真実は現場にあるので、現場を知らなければ、何も始まらないからです。ところが、報告システムがなければ、現場を知ることはできません。

 社長以下幹部が集まって、真実を知らないまま「ああしよう、こうしよう」と戦略会議を行っている会社に将来はありません。すべてのスタートは現場を知ることです。

 では、いったいどうすれば現場の真実を知ることができるのか。この機会に「報告のあり方」を徹底的に見直してみてください。

 報告項目は次の5つです。

(1)数字

(2)お客様の情報

(3)ライバルの情報

(4)取引先の情報

(5)自分の意見

 この5つを満たさないものは、報告として価値がありません。

 報告のフォーマットは、5つの項目をA4の用紙に2行で記載するのが基本です。1つの報告をダラダラと長文にするのではなく、(1)から(5)までの情報を件数を多く報告するのが基本です。社長は事実のみを知りたいのです。「各項目は2行」と決めると、むだなことを作文するすきが与えられず、真実のみが記載されます。これが一番効率的です。

上司が部下に話を聞きに行く

 そもそも、会社はピラミッド型で成り立っています。頂点に社長がいて、その下に部長や課長がいて、さらに下には平の社員、パート、アルバイトがいます。

 指示・命令の報は、この三角形の上から下へ向かって流れていくので、情報も自動的に上がってくると思い違いをしている場合が多いのが現状です。情報は、上司が部下に話を聞きに行いって初めて、まともな報告が得られます。それをせずに、「なんで報告しないんだ!」といくら怒鳴っても無駄です。

 つまり報告のしくみとは、上の人間が下の人たちのところへ行って、情報を収集する形です。それも「嫌でも、情報収集をせざるを得ない」状況がポイントです。

 順を追ってみていきましょう。まず、社長が部長を集めて会議をします。その席では、当然5つの項目について報告を受けます。会議の冒頭から社長があれこれ話し始めるケースがよくありますが、そんな話は無意味です。部下の報告を聞いて、現場(真実)を把握しなければ、いかなる内容も判断しようがありません。

 会議の席で社長がすべきことは、部下の話を聞くことです。実際に報告を聞き始めると、各部長がどれだけ情報収集をしているかが如実に分かります。

 (1)の「数字」は、どんな部長でも話すことができます。エクセルシートなどでデータを確認すればすぐに分かる。しかし、(2)の「お客様の情報」、(3)の「ライバルの情報」、(4)の「取引先の情報」になると、部下から話を聞かないと現状は分かりません。そして、情報が不十分な部長ほど、(5)の「自分の意見」を適当に話し始める。

部下からの情報収集を怠って、まともな報告ができない部長はすぐに更迭します。それが分かっているので、部長は会議の前に課長のところへ行って、しっかりと報告を受ける。すると、今度は部長と課長のやりとりです。

 会社の規模や組織にもよりますが、課長クラスになると、(4)の「取引先の情報」は把握していることが多い。なので、部長に対して詳細に報告することができます。

 ところが、(2)の「お客様の情報」、(3)の「ライバルの情報」は、直接お客様のところへ出向く社員、お客様からの連絡を受けるパートやアルバイトに話を聞かなければ、詳細なところは分かりません。

 課長は、部長から「お客様の情報を教えてくれ」と言われたとき、「いや、自分にはちょっと分かりません」と言うわけにはいきません。そんな職務怠慢な人には、すぐに減給や降格が待っているからです。

 そこで課長も、日頃から平の社員、パート、アルバイトの人たちのところへ行き、「お客様はどう言っているのか」「ライバル関係で、何か動きはあった? 」と具体的で、詳細な情報収集を欠かさない。

 これが、まともな組織における報告のしくみです。

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