2011年6月9日木曜日

消費は「不要不急」でなく「必要緊急」

 消費は、行動経済学であり、心理経済学でもある。合理的でなくても、人の心は動き、消費のボタンが押される。
 消費活性化のレバーは決して少なくない。防災関連商品や自家発電といった「備える消費」や、寄付金消費や被災地産消費など、気持ちに訴えかける「情緒消費」は消費者の心にしっかりと根付き始めた。また、保有から利用への流れや、省エネ、安全性への関心の高まりも、変化の芽として顕在化している。企業は、消費者の変質を見極めつつ、「消費する意味合い」を積極的に伝えることで、「本当は買いたい」消費者の背中を押せるはずだ。
 また、不道徳感も含めた消費マインド解凍には、より広い視点からの呼び掛けも欲しいところだ。「不要不急」はすっかり耳慣れた言葉になったが、経済再生は「必要緊急」である。元気な人が足を引っ張ってはならない。一人ひとりの力を巨大な火の玉として、再生は初めて前に進むことを、官民を上げて訴えかけなければならない。
 政府にも頑張って欲しい。消費者が最も気にしている「将来不安」の解消には、福祉国家のグランドデザインが不可欠である。その上で、相続税/贈与税の時限免除や資産課税など、「貯蓄から消費へ」を促す策はいくらもある。こんなときは、国内旅行ポイントや賞与のレジャークーポン払いなど、時限施策も総動員で、あとで「やりすぎた」と批判が出るようなら「してやったり」ではないのか。
 「使わないと損するよ」「胸を張って使えばいいよ」。消費者は、時に北風の、時に太陽のささやきを求めている。

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