2011年6月9日木曜日

リーダーシップ

 組織がうまく回らない時、自分たちのやりたいことができない時、うまくいかないジレンマが組織の空気に漂った時、必ずと言っていいほど、フォロワーはリーダー批判を開始する。「リーダーシップがない」と。
・明確なビジョンがない
・口ばかりで何もやろうとしない
・決断が遅い
・人望がない

 リーダーシップとは、そこにいるメンバー(フォロワー)がやりがいを感じられなかったり、熱狂できなかったり、楽しめなかったりした時、なぜこんなにもうまくいかないんだろうという思いに駆られた時に、初めて問題となるテーマであり、ネガティブな感情が蔓延した時にしか注目を浴びないものなのだ。

 「組織運営においてリーダーの及ぼす影響力は10%程度で、残りの90%は、部下であるフォロワーの人々の力が左右する」
 こう説いたのは、米カーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授である。

 フォロワーのいないリーダーはこの世に存在しない。リーダーの下には必ずやフォロワーがいて、フォロワーがロボットでもない限り、そこにはフォロワーの行動や心の有様が組織のパフォーマンスの係数として存在する。

 名リーダーがいるように、名フォロワーもいる。その両者がタッグを組んだ時に初めて、リーダーシップが発揮されるというわけだ。

 確かに名リーダーと呼ばれる人の傍らには、その人を支え続けた名脇役とも言うべき名フォロワーがいるように思う。

 ホンダの創業者である本田宗一郎氏には、常に同氏を立ててマスコミからは一切身を隠し、同社の財務並びに販売を一手に取り仕切っていた藤沢武夫氏の存在があった。松下電器産業(現パナソニック)の創業者である松下幸之助氏にも、中尾哲二郎氏という右腕のエンジニアがいたと言われている。

 藤沢さんも、中尾さんもトップにはなっていない。藤沢さんは、社長の本田さんとともに副社長を退き、中尾さんも副社長にはなったものの、社長にはならなかった。いわば名ナンバー2として、リーダーのパートナーであり続けた存在だった。

優秀なフォロワーに選ばれるのがリーダーの仕事、リーダー選びの基準となるのが、次の3点だ
(1)明確なビジョン
(2)ビジョン達成への誠実さ
(3)批判や意見に耳を傾ける度量

優秀なフォロワーに出会うための"術" は、次の三つ
 1つ目は、年明けの仕事始めに、今年の目標を全員にプレゼンすると同時に、1人ひとりがじっくり読めるように手紙にして渡す。
 2つ目は、週2回、部長・課長クラスから7人程度を会議室に集め、つまみで酒を酌み交わしながら意見交換をする。できるだけ工場にも顔を出し、従業員たちと無駄話をする。
 3つ目は、"ではの神"にはならないようにする。「〜では、ホニャララと言っている」とか、「オッペケペー理論では……」などと、「〜では」を多用しない。自分の言葉を使って、自分の会社のメンバーに伝わる表現を自ら考えて発言するようにしているというのだ。

 社長という座にとどまるのではなく、自分からフォロワーに近づく努力を惜しまない。ビジョンがちゃんと伝わるように、伝わったか、と常に内省を繰り返す。フォロワーが耳を傾けるために、時にはお酒の力を借りてみたり。現場で空気を共に吸い、現場のフォロワーの声を無駄話の中に見いだそうとする。

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